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2026/09/29

肩の痛み

 先日、肩の痛みでお悩みの患者さんが来院してくださいました。

 問診でお話を聞かせていただくと、約半年前に肩に痛みが出るようになってから痛みの為に腕が上がらなくなってしまい、バンザイが出来なくなったそうです。

 日にち薬だと思いほったらかしにしていたところ、痛みは多少はマシにはなったそうですが、左右で肩の可動域が全然違うことに気づき、当院に来院していただく前に別のカイロプラクティック院に行かれたそうです。しかし、他府県の院らしく頻繁に行くことができないという事で、ホームページで検索して当院に来院してくださいました。

 施術をするにあたり検査は非常に重要になります。肩の可動域検査はもちろんのこと、頚椎の動きなどさまざまな検査を行います。ここで少しだけご紹介しましょう。

 先ずは、肩の可動域を細かく検査させていただきました。肩は人体で1番可動域のある関節なので、検査をする種類も多くあります。

 立位で単純に気をつけの姿勢から腕を前方に振り上げてバンザイの状態までもっていく肩関節の屈曲という動き、同じく気をつけの姿勢からから真横に上げてバンザイの位置までもっていく肩関節の外転という動き。前から上げていく動きでは気をつけの位置を0度として140度位で肩の上から肩甲骨の辺りに痛みが生じ、横から上げる動き(肩関節と水平が90度)では、120度位で肩関節が引っかかった感じの状態でした。そこから更に腕を上げようとすると代償運動が起こりました。

 代償運動とは、関節や筋肉にトラブルがあったとき、動きを補う為に他の筋肉や部位を動員して動かそうとするものです。これを長期間に渡ってやってしまうと、動員してしまった部位に負担がかかり、その部分に不調を引き起こす可能性が出てきます。なので、こういった動きもきちんと見極める必要があります。

 次に、肩の真横に上げて肩のラインまでもっていき、肘を90度に曲げた状態のまま、後ろに回旋していきます。この動きを肩関節外転90度位、肘関節屈曲90度位での肩関節外旋という動きで、野球やバレーボールのテークバックのような形になります。同じく内に回す内旋という動きで制限があるかを確認します。

 壁に背中をつけていただき、気をつけの姿勢で肘は体のから離さず肘を90度に曲げた状態から肩の関節を外に回す(肩関節の外旋)。つまり、手の甲を壁に近づけてるように動かしていただきます。この時に注意するのは手首を反らして無理に壁につけようとしないことと、腰を反らせて無理に壁につけようとしないことです。

 上記の検査を仰向けになって同じ動きを行っていただきました。皆さんも一度やってみてください。仰向けになってバンザイの姿勢を取ってみてください。腕が耳について床につくのが本来の可動域になります。これでつかない場合、肩関節のトラブルや肩関節を動かすのに必要な筋肉の硬さを疑います。

 肩のインナーマッスルという言葉を聞いたことがあるでしょうか?回旋筋腱板(ローテーターカフ)は、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉からなり、腕を横に上げたり、捻ったりするだけでなく、肩関節を引き付けて安定させる役割もあります。各々大きな筋肉ではありませんが、肩の関節には非常に重要な筋肉です。

 肩の関節は他の関節と違って強い靭帯がありません。その代わり可動域が大きいという特徴をもっていますが、その反面、安定性が低い関節です。なので、一旦バランスを崩してしまうと制限をカバーしようと周りの筋肉も動員して動かそうとします。これが先ほど書いた代償運動です。

 施術内容としましては、先ず、肩関節の動きを滑らかにするためのモビリゼーションテクニックを用いて関節の可動域を改善するように関節を動かします。その後肩甲骨も本来の動きを作るように肩甲骨を動かしていきます。

 痛みや可動域が少し改善してきたら、可能な範囲でストレッチを行いました。患者さんは大胸筋と広背筋が健側に比べて患側が極端に硬さがありました。この筋肉を伸ばすことで、バンザイの姿勢がやり易くなります。

 次に先ほど説明した肩のインナーマッスルのトレーニングです。インナーマッスルの4つの筋肉はアウターマッスル(体の表面を覆う大きな筋肉)とのバランスが非常に重要になります。このバランスが崩れることで、肩の可動域は狭くなり、ケガの原因になります。インナーマッスルは高重力の負荷では鍛えることができません。普段、ジムで思い物を扱うトレーニングではインナーマッスルではなく、アウターマッスルに刺激が入ります。

 では、どうすればいいかと言うと、1kg程度の負荷や細いゴムチューブ、リハビリの初期では徒手抵抗を使いインナーマッスルに刺激を入れます。プロ野球選手がフェンスにゴムを引っ掛けて引っ張っているのを見たことないですか?あれがインナーマッスルのトレーニングです。

 インナーマッスルが弱化している場合、水が入った500ml(500g)のペットボトルの重さですら持ち上げることが困難になります。普段高負荷のトレーニングばかりを行っている方もケガの予防の為にインナーマッスルのトレーニングを取り入れることをお勧めします。

 患者さんもこのインナーマッスルのチューブトレーニングを行い弱化している筋肉を強化しました。

 もちろん、頚椎の調整を行います。肩から指先の神経支配は頚椎が関係します。頚椎の動きが悪ければ神経の流れも悪くなり、肩から先に悪影響を及ぼします。頚椎の動きを滑らかにすることで肩の動きが格段に良くなります。

 初回は上記の内容の施術を行いました。ご自宅でも無理のないできる範囲でのストレッチと指導させていただいた運動をやっていただき、1週間後に来院していただきました。痛みは当初より半減し、可動域も随分と回復しておられました。

 数回同様の施術を行ったところ、初回の検査ではバンザイが出来なかったですが、今では痛みも無くしっかりとバンザイが出来る状態まで可動域が回復し喜んでおられます。